東北大学病院 検査部長亀井 尚05NSTが登場する以前から栄養療法の重要性は十分認識されていましたが、その実践は主に医師による「栄養管理」に限られていました。系統的なチーム医療として、管理栄養士他がメンバーの主体となり得るNST 活動が画期的であったことは間違いありません。当初はNSTという名称が先行した感がありましたが、2001年頃から多くの病院で独自の工夫を取り入れながらNSTが設立されました。東北大学病院は専門診療の割合が高く、病床数も多いことから、必要な患者さんを各診療科が挙げるコンサルテーション型として稼働した経緯があります。2003年の設立は、それまでの当院の栄養療法への積極的な取り組みからすれば若干遅かったかもしれませんが、その後、栄養管理実施加算や栄養サポートチーム加算の算定が加わり、現在は病棟毎でのNSTカンファレンスも実施されるまでに進んできました。現在、NSTは自然の流れで日常診療に組み込まれています。2007年には栄養サポートセンターが設立され、NSTを中心とした大きな体制に改変となり、人材育成や教育も含めて広く活動する組織に発展しています。この20年間の発展はこれまでNSTに関わってきた多くの多職種の方々の力によるものであり、あらためて敬意を表します。栄養療法は全ての医療の根幹であり、適切な栄養療法が出来なければ疾患の治癒、改善は期待できません。また、高齢化社会が進み、患者さんがサルコペニア、フレイルを合併している割合も増えている状況から、適切な栄養療法と有効なリハビリテーションを組み合わせた患者サポートプログラムが強く望まれています。栄養療法のアウトカムを予後で示すのは非常に難しいですが、多職種の専門的な知見を融合させ、予後の改善を示すような栄養療法のエビデンスを東北大学病院NSTから発信できましたらこのうえない喜びです。東北大学病院NSTの益々の発展を期待します。東北大学病院NSTに期待すること
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