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INTERVIEW

TUHなヒトビト
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治験全体を調整する仕事「CRC」 管理システムの導入でスムーズな治験目指す
治験全体を調整する仕事「CRC」 管理システムの導入でスムーズな治験目指す
TUHなヒトビト 2024.10.10

治験全体を調整する仕事「CRC」 管理システムの導入でスムーズな治験目指す

臨床研究実施部門 CRC|小林智徳

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CRIETO(*1)臨床研究実施部門にて、CRC(臨床研究コーディネーター)として勤務する小林智徳さん。東北大学病院薬剤部からCRIETOへの出向を経て、2023年から正式に異動となりました。大学で薬学を学んだ後、大学院に進み博士号を取得。大学院では放射性医薬品分野の研究室で、肝細胞の増殖能に放射線が及ぼす影響についての研究に取り組んでいました。東北大学病院に入職した理由は、「臨床に携わりながら研究にも関わりたかったから」と話します。治験をスムーズに遂行するため、休日でも勉強を欠かさない小林さんですが、学会などで遠方に足を運んだ際には、現地の美術館などで息抜きをすることもあるそうです。

CRIETOに入職したきっかけと、CRCの業務内容について教えてください。

もともと私は東北大学病院の薬剤部に所属していました。2020年からCRIETO臨床研究実施部門(以下、実施部門)に3年間出向し、2023年から正式に異動しました。以前から薬剤部で治験薬の管理などの治験業務に関わっていたので、実施部門への出向のお話をいただいた時も抵抗はありませんでした。異動を決めたのは、大学病院薬剤部よりも実施部門の方が、自分の仕事に手応えが感じられたからです。例えば、薬剤部での治験業務は、治験のプロトコールの中でも、一部の課程しか関わることができませんでした。それが、実施部門に出向してCRCとして治験に広く関与することとなり、自分が貢献できているという実感が得られました。そして、実施部門に移ろうと決めたタイミングで、日本臨床薬理学会認定CRCの資格を取得しました。CRCの仕事に必須の資格ではないのですが、これからCRIETOで働いていこうという私自身の決意の表れでもありました。
CRIETOでの私の業務内容ですが、治験を実施するにあたって、まず院内体制立ち上げの準備を行います。治験に必要な検査の種類や、各検査の実施条件などを、事前に各部署に打診します。実際に治験が動き始めたら、患者さんがその治験に適格であるかの確認をし、投薬とその効き目の評価の検査を行いながら、スケジュールを管理していきます。加えて、患者さんのバイタルサインなど、収集したデータの管理も行います。治験で収集されるデータは紙ベースのワークシートで扱われるケースも多いので、細心の注意を払って取り扱っています。また、東北大学病院は臨床研究中核病院でもあるので、再生医療等製品など小規模な医療機関では扱わない特殊な製品の管理などCRIETO特有の業務もあります。現在、CRIETOには20人ほどのCRCが在籍しており、東北大学病院のさまざまな部署と連携しながら業務を進めています。治験薬の管理では薬剤部、再生医療等製品のことでは移植再生医療センター、検査に関する調整では臨床検査部門や放射線部門などとやりとりをしています。

CRCの仕事で苦労することはありますか。また、 どのような時にCRCの魅力を感じますか。

一般の治療目的で行う投薬と比べて、治験では適切なデータを取るために、検査や投薬などは厳密な条件下で行わなければならず、規定の運用手順から逸脱しないように特に気を配っています。それから、治験は一連の実施期間が長いので、終了する試験より新しく始まる試験の方が圧倒的に多く、積み重なっていく業務を管理するのが大変なことがあります。私の場合、主担当では15~20、副担当の治験も同程度あるので、30~40ほどの治験を担当しています。CRIETO全体だと300以上あると思います。加えて、近年では治験の内容そのものが複雑化しているので、日々苦労は絶えません。
ただ、苦労の分だけやりがいを感じることもあります。治験薬が製造販売承認を取得して薬価収載されると、「これからこの薬が広く使われるようになるんだな」という達成感があります。また、治験薬を使用した患者さんに良い効果が見られた時も、治療に貢献できたという満足感を覚えます。治験に登録される患者さんの中には、既存の治療方法では効果がなく、最後の選択肢として参加される方も多くいらっしゃいます。もちろん、治験薬が効かない方もいらっしゃいますが、既存の薬ではどうにもならなかった方が治験薬で改善していくケースに当たると、この治験を紹介できて本当によかったと思います。

休日はどのように過ごしていますか。また、今後の展望を教えてください。

休日は、不足していると感じる知識の補完や、業務で使うプログラミング言語のVBAの作成など、通常の勤務時間内ではできないことをこなしています。CRC関連の学術集会などにも積極的に参加しています。もう少し仕事とプライベートのメリハリをつけなければとも思うのですが、大学院時代に朝から晩まで平日も週末もなく研究に打ち込んでいたせいか、休日になってもなかなか頭を切り替えることができないでいます。
今後の展望についてですが、2023年12月に、実施部門でCRCの業務を支援する新しいシステムを導入しました。患者さんの来院スケジュールや一連の費用発生など、もともとExcelで管理していた情報を一元的に管理できるようにし、数年前から外部の企業と共同開発を始めて、昨年末頃に運用をスタートさせました。まだ導入して数カ月しか経たないので、実際の業務とどう調整し、組織に根付かせていくかがこれからの課題です。私たちスタッフの業務環境を整えるだけではなく、治験全体の遂行をスムーズにすることで、新薬の承認に少しでも貢献できればと考えています。

那珂川町馬頭広重美術館(栃木)
日本臨床試験学会第15回学術集会総会(大阪)ランチョンセミナー
日本病院薬剤師会東北ブロック第9回学術大会(秋田)優秀ポスター賞

*1 CRIETO:臨床研究推進センターのこと。安全で有効な薬や医療機器の開発を支援する。

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小林 智徳(こばやし とものり)

千葉県出身。2007年東北薬科大学薬学部卒業。2013年に東北大学病院薬剤部に入職し、2015年から治験業務に従事。2020年に臨床研究実施部門に出向し、2023年に異動。現在CRCとして5年間の経験を積んでいる。

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