病院長に聞く これからの大学病院のあり方

2013.10.25

特定機能病院に求められるもの、それは、安全性が伴う高度医療を行うことだと思っています。東北大学病院ではインシデントレポートの共有や分析はもちろん、医療安全や感染対策などに関する研修の機会を多く設けています。スタッフ一人ひとりの意識は非常に高く、院内全体で、安全でやさしく、かつどんな疾患にも対応できる医療を提供しようという機運が高まっています。また、そのような人材をこの大学病院で育てていくことは、地域への優れた医療人の提供につながり、さらには地域全体に対して医療の質を保障することへとつながっています。

昨年、私は県の医療局と医師会の方々と一緒に、東日本大震災で被害に遭った沿岸部の病院を回り、現場や診療所で働いている方々と話をしました。そこで強く感じたのは、大学病院には、どんな状況にあっても質の高い医療をその地域に提供し続けられる仕組みを作る責任があるということ。これまでは〝最後の砦?としての面が主でしたが、これからは、大学病院自体が積極的に地域医療に関心を持つことが必要になるでしょう。例えば、深刻な課題である医師の偏在を解消できるような仕組みを作ることもその一つ。地域全体に十分な医療を提供できるよう、行政とも連携して現在準備を進めているところです。

また、最先端医療施設を整備することも東北大学病院の大きな使命。より充実した環境を整えるため、高度医療を集中させた新中央診療棟の建設計画が進行中です。さらに、アジアなど世界の主要な病院と連携して医療情報の共有や手術の技術指導を行う準備を整えたり、院内の臨床研究施設である「臨床研究推進センター」で企業と協同で医療機器や新薬の開発に取り組むなど、今後も将来に目を向けながら、患者さまがより安心して医療を受けられる未来型の病院づくりに力を入れていきたいと考えています。

11月24?30日は
医療安全推進週間
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