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心療内科

対象疾患と診療内容

診療対象は心理社会的ストレスによって発症もしくは増悪する内科疾患です。特定の臓器だけでなく、内科を中心にしながらもその他の診療科も含む身体各臓器がストレスの影響を受けている時に心療内科の診療が効果を発揮します。全国的には心療内科では循環器、呼吸器、消化器、内分泌、代謝、腎泌尿器、神経、血液、免疫、アレルギーなど内科疾患を中心に、疼痛、婦人科、耳鼻科、皮膚科その他の各疾患群にもストレスが関与している場合に対応しています。以下に東北大学で特に頻度が高い疾患群への診療を解説します。

消化器疾患

消化器症状が持続するにもかかわらず、内視鏡、消化管造影、CTなど一般的な検査では異常が見つからないものを腸脳相関病(機能性消化管障害)と呼びます。【過敏性腸症候群】や【機能性ディスペプシア】がその代表です。それだけでなく、機能性便秘、機能性下痢、中枢性腹痛症候群、機能性食道障害など、多くがストレス関連疾患の要素を持っています。慢性に経過するため、患者さんの生活の質(QOL)が著しく低下する病態です。腸脳相関病を医療従事者側が比較的軽い病態と考えているのに対し、患者さん側が極めて重大に感じている”unmet medical needs”であることも判っています。腸脳相関病では、ストレスを受けてから脳機能が変化し、消化管が影響を受ける脳→腸の病態経路があります。それだけでなく、各臓器の信号が脳に伝達されて脳機能が変化する腸→脳の経路が病態形成を担っています。これらの病態は、消化管機能検査と脳機能画像を用いて明らかにできます。このため、腸脳相関病はストレス関連疾患全般に応用可能なモデル病態と見なされています。これらに対しては、血液検査、各種画像検査、脳波検査、消化器内科に依頼しての消化管検査、計量心理学的評価などを用いて評価と診断を行っています。治療法としても、薬物療法だけでなく、自律訓練法、交流分析法、認知行動療法を行っています。東北大学病院心療内科の腸脳相関病に関する診療?研究レベルは世界的に高い評価を得ています。

摂食障害

【神経性やせ症】、【神経性過食症】は、やせている状態を美とみなす社会風潮の影響を受け、思春期の女性が罹患する【摂食障害】です。これらは、急激な栄養低下が生じるか病悩期間が長引くと、横紋筋融解、心不全、腎不全、脳萎縮、骨粗鬆症、骨髄膠様変化、消化管運動異常などが生じ、生命の危険を伴う疾患群です。最近は男性や20代以上の年齢層、あるいは小学生でも多くなっています。若い女性で食事量が不足し、低体重性の無月経がある時は、神経性やせ症が疑われます。嘔吐を繰り返す、緩下剤や利尿剤を大量に使用する場合、電解質異常から死に至る場合があり、専門的な治療が必要です。【回避?制限性食物摂取症】は、やせたい気持ちではなく、食べると腹痛や吐き気が生じることを極度に恐れるなどして摂食量が減り、著しい低体重となる疾患で、思春期以前の小児から、成人まで幅広い年齢層に見られます。神経性やせ症と同様に様々な合併症を生じ、専門的な治療が必要となります。心療内科では個々の患者さんにあわせたテーラーメイドの治療を行っています。摂食障害治療支援センターを院内に開設しています。宮城県摂食障害治療拠点病院としての位置づけです。そちらも参照して下さい。

不安とうつ

内科疾患に合併した不安とうつは心療内科の適応です。身体症状を伴う不安症に【パニック症】があります。パニック症では、突然心臓が苦しくなる、息が止まりそうになる、全身がふるえるなどの身体症状と共に、死ぬのではないかという強い不安感が出現するパニック発作を繰り返します。このため特定の場所を避ける(広場恐怖)ようになり、行動制限が生じ、遷延化するとうつを合併します。扁桃体の感作がその病態の中心です。職場や学校で、あるいは対人交流での問題から抑うつ症状を起こした【うつ病】あるいは【うつ状態】であって、自殺の危険性や幻覚?妄想がない場合、心療内科の適応です。うつではしばしばインスリン抵抗性が認められ、一時的に糖尿病のコントロールを悪化させるような変化が起こります。うつでは、視床下部-下垂体-副腎皮質軸の活性化、これを抑制する海馬神経細胞の萎縮、膝下部前帯状回の過活性が生じています。心療内科では不安やうつに対して、脳内神経伝達物質と神経細胞新生の研究に基づく薬物療法を行います。また、対人交流の調整あるいはストレス対処法の指導などを行い、症状改善をはかります。また、気分の調整のみならず、うつや不安に伴う様々な身体的変化や症状に対して診断および加療を行います。

治療法

最新の脳科学と臨床薬理学に基づく薬物療法を行います。消化管運動機能調整薬などの内科的薬剤、抗うつ薬などの向精神薬を、それぞれの薬理作用や副作用などの特徴を踏まえた上で治療を進めます。また、心身医学療法として自律訓練法、交流分析法などを行っています。さらに認知行動療法、マインドフルネス療法を実施することもあります。

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新患、新入院患者数(2023年度)

新患数 161人
新入院患者数 37人

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