部長あいさつ
【血液浄化療法部の過去と現在】
東北大学病院では、1968年、第一例目の血液透析(人工腎臓)を行い、1970年代に、人工腎臓室が設置されました。さらに、血漿交換療法、血液濾過法、各種吸着療法などが治療法として確立され、1998年度に血液浄化療法部ができました。現在、血液浄化療法部は部長以下、副部長、医員、診療技術部の臨床工学技士、看護部の看護師やクラークで診療チームを構成する中央特殊診療部門です。
【診療実績】
1. 慢性腎不全に対する血液透析療法は透析室で実施する主要な業務です。透析を始める患者さん(表:新規の血液透析導入)は、全国的傾向と同様に高齢化、糖尿病性腎症の比率が多いですが、現在は、腎代替療法全般について、患者さんが十分に説明を受けて治療法を選択をすることが求められています。そこで、実際に腎代替療法を始める前の患者さんとの接点も大切にしています。腎臓?高血圧内科、看護部、医療相談室などとの情報共有、連携を従来にも増して強化して、身体的、心理的、社会的フレイルを克服して末期腎不全患者さんの安定化を目指して診療しています。血液透析の導入後は地域の透析医療機関に迅速に受け入れをしていただいていることにはこの場を借りて心からの感謝を申し上げます。また、当院の体制や実績は血液透析導入期加算3を算定できる医療機関として認められており、腎代替療法について公開のセミナーを開催して地域の皆さまと連携しています。
さらに、慢性維持透析患者さんの心血管疾患、感染症、悪性新生物などの合併症治療に際しては、透析室、高度救急救命センター、HCU、ICUと病状にあった実施場所での実施に対応し、合併症での入院という不安な患者さんをケアして高度医療や手術を受けていただいております。
2. 急性血液浄化?救命救急領域、集中治療領域で発生した多臓器の重篤な障害に対し、持続的血液透析濾過(CHDF)を多く実施していて、いわゆるNon-renal indicationという全身管理を目的とした症例もあり、あわせて全国屈指の実績があります。
3. アフェレシス療法の対象疾患は、脳神経疾患、皮膚疾患、膠原病領域の重症?難治性疾患、血液型不適合の臓器移植目的など、当院の担う医療の特徴を反映しています。
【豊富な経験と新しい知見を融合】
以上が血液浄化療法部の特色ですが、実施にあたって、方法や件数、治療成績、医療安全に関する情報を集約?一括して管理させていただくことで、患者さんや診療科へのフィードバックも進みます。同時に、地域医療への貢献、学術的活動においても血液浄化療法部ができることを着実に実践してまいります。
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