部の特色

東北大学病院手術部の最大の特色は、多様な診療科の手術を受けいれられる柔軟性とそのcapacityにあります。東北地方最大の手術室数と手術件数である当院では、高度で先進的な医療ニーズを満たせる機能を有していおり、近年急速に発展している低侵襲手術治療に対応した体制を整えています。
平成24年から開始されたロボット支援手術も軌道にのり、泌尿器科（前立腺、腎、膀胱）、総合外科（食道、胃、肝胆膵、直腸）、呼吸器外科（縦隔、肺）、婦人科（子宮）、そして耳鼻咽喉頭頸部外科で実施しており、令和4年8月からは2台目が導入され、毎日休む間もなく稼働いたします。また、血管内治療を可能とするハイブリッド手術室では、大動脈、末梢血管領域の精緻な血管内治療や大動脈弁狭窄症を有するハイリスク症例に対する経カテーテル的大動脈弁置換術（TAVI）や僧帽弁閉鎖不全症に対するMitraClip?などが実施されています。さらに当部門の際立った特徴は、現行の制度下で移植可能な全臓器の移植認定施設に指定され実践している、全国的に数少ない移植医療拠点となっていることです。これまで脳死 肺?心?肝?膵腎?腎?小腸移植術に加え、生体肝?肺?腎移植術を経験してきました。さらに、移植手術のみならず、脳死ドナーからの複数臓器摘出手術や、心停止ドナーからの臓器および組織提供手術も行っております。
当施設の手術部では、外科系診療科だけでなく、小児科?内科領域での侵襲を伴う検査やデバイス植込み術、骨髄移植のための骨髄採取等、多様な診療行為が安全に遂行されるためのプラットフォームが形成されています。ほぼ全ての診療科が手術部と連関を有し、横断的な診療行為が営まれています。近年では複数診療科による合同手術が増加しており、大学病院で対応する病態の複雑化を象徴しています。診療科間の密な連携の核となっているのが麻酔科スタッフであり、手術部看護師スタッフです。充実した麻酔科指導医や、手術看護に習熟した経験豊かな看護師を中心とし、安全な診療行為に加え、次世代の医療を支える専門職医療人の教育を積極的に担っているのが当部門の大きな特色でもあります。その教育的活動を実践しながら、令和元年度には合計10,002件の手術を安全に遂行し得ました。現在はCOVID-19のまん延によって一旦は手術件数が減少しましたが、本年度は9,500件を超える状況で推移しております。
最後になりましたが、高度先進医療と多くの一般的手術治療の需要を満たすべく、数多くの専門職が集結している手術部は、臨床工学技士?薬剤師?放射線技師?材料部スタッフ?集中治療部スタッフ?輸血部技師らの手術部への積極的参画と協働により、統合化された最も安全な医療という目的に向かって一同が情熱をもって取り組んでいる部門です。

関連記事