未来型臨床開発人材育成寄附部門は、昨今の臨床開発環境の変化に柔軟に対応できる人材の育成基盤を構築し、新たな医療創出に貢献することを目的に2022年5月に設立しました。設立に至る背景は主に以下の二点です。
臨床研究法の施行、信頼性確保要求の高まりから、臨床研究の質向上が求められる一方で、臨床研究にかかる費用の高騰を招いています。加えて、COVID-19感染拡大の影響から、被験者の来訪を制限せざるを得なくなったことで、治験にかかる診療、説明等の遠隔化が飛躍的に進んでいます。このような臨床研究の環境変化は、臨床研究手法の変化を引き起こし、新たな臨床研究手法が海外では続々と導入されていますが、我が国において十分進んでいないのが現状です。
新たな医療の創出には、良質のイノベーションと適切な臨床開発環境が必須です。海外を見ると、アカデミア発イノベーションが新たな医療創出に大きな役割を果たすことが知られていますが、そのカギを握るのが革新的技術?アイデアを社会実装に繋げる伴走人材です。我が国でもアカデミア発イノベーションの強化がなされていますが、新たな医療創出に不可欠な、開発全体を俯瞰して伴走できる人材が枯渇しており、最適化がなされていません。
臨床研究推進センター（CRIETO）では、開発早期段階から臨床開発に至るすべての段階にある200件近い開発案件、常時15件を超える医師主導治験?臨床研究の支援を提供しており、前述の人材育成にかかる社会課題に対し実際の開発案件の支援を介して学ぶことができる環境にあります。当部門では、CRIETOが持つ開発支援基盤を活用し、開発伴走人材の育成を行い社会課題の解決に寄与するとともに、新たな臨床研究手法を試行的に運用することを介して関連人材を育成し、臨床開発環境の最適化に貢献したいと考えています。