あいさつ
わが国においては、適正な輸血を行うための指針として、「輸血療法の実施に関する指針」や「血液製剤の使用指針」が厚生労働省から提示されています。また、改正薬機法および「安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律(血液法)」の施行による法的な整備が進み、国および日本赤十字社による安全な血液製剤の安定的供給のための体制の構築が進んでいます。輸血?細胞治療部門としましては、各種指針に基づいて、東北大学病院における輸血管理体制を整備し、医療機関の責務として血液法に謳われている血液製剤の適正使用の推進と安全な輸血医療に取り組むとともに、細胞治療の分野においても、積極的にその役割を果たしていきたいと考えております。
部の特色
当院は多発外傷などの高度救命救急、産科的DICを伴う大量出血症例が集約され、体外循環を伴う心臓血管手術や臓器移植件数も多く、それらを支える輸血業務は、専従の臨床検査技師9名(うち認定輸血検査技師7名)が24時間体制で対応しています。専任医師(輸血?細胞治療学会認定医)は、輸血責任医師として必要なアドバイスを行い、自己血看護師2名と共に自己血採血を行い、細胞アフェレーシス採取に関しては、医師、アフェレーシスナース、臨床検査技師、臨床工学技士がチームとなり細胞採取を行っています。造血細胞移植コーディネーター(HCTC)は、血液内科および小児科で行う造血細胞移植患者?ドナーのコーディネート、CAR-T細胞療法のコーディネートを担っています。
当部署の業務内容は、輸血検査?製剤管理、自己血採血及び自己フィブリン糊作製、ABO各型の同種クリオプレシピテート院内調製(写真1)、非血縁を含む同種及び自己の末梢血幹細胞やリンパ球の採取?調製?保管、顆粒球採取、ABO血液型不適合骨髄の赤血球?血漿除去処理、造血幹細胞検査(CD34測定)、移植臍帯血の受け入れ、造血幹細胞移植前後のキメリズム解析、アルブミン製剤の管理、再生医療等製品の調製や保管管理等です。輸血検査は平成23年にISO15189を取得しました。品質マネジメントシステムを構築し、自己リンパ球のアフェレーシス採取?調製保管(写真2)を行い、CAR-T療法にも積極的に取り組んでいます。膵島移植などの臓器移植時のリンパ球クロスマッチについても、令和5年度より対応を開始しました。
また認定輸血検査技師と院内の臨床輸血看護師が医療安全巡視に同行し、輸血の実施や看護について各部署での確認を行い、院内全体の輸血医療の安全向上に貢献しています。
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