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呼吸器外科

病棟 西病棟 16F 外来 外来診療棟C 2F
外来受付 Tel : 022-717-7877 独自webサイト 東北大学加齢医学研究所 呼吸器外科学分野
対象疾患 肺癌(原発性、転移性)/縦隔腫瘍/胸壁腫瘍/悪性胸膜中皮腫/気胸/肺嚢胞/膿胸/肺アスペルギローマ/胸部外傷/気道異物/重症筋無力症(拡大胸腺摘除)/慢性進行性肺疾患(肺移植)

対象疾患と診療内容

呼吸器外科は主に肺、縦隔、横隔膜、胸壁における外科的な疾患を対象とする診療科です。これらの臓器、組織は生命の維持に欠かせない呼吸に関係する重要な部位です。呼吸器疾患に対して最善の外科治療を行うために、呼吸器内科、循環器内科、心臓血管外科、麻酔科、放射線診断科、放射線治療科、病理部、内部障害リハビリテーション科などと密接な連携を持って診療を行っています。

当科で最も多く取り扱う疾患は原発性肺癌です。検診などで発見された肺の陰影の診断のために気管支鏡検査を行っています。呼吸器外科手術を安全かつ確実に行うため、また病気の状態を正確に診断するために、呼吸機能検査や肺シンチグラム検査を行います。気管支鏡検査で原発性肺癌と診断が確定し、臨床病期がI期またはII期にとどまっている場合はまず手術を検討します。確定診断が得られない場合でも画像上原発性肺癌が疑われる場合には、手術による治療を行うことがあります。手術においては、胸腔鏡を導入し、手術創が小さく痛みの少ない治療を心がけています。今日では、ほとんどの肺癌手術を4cm程度の創から行う完全胸腔鏡下手術で行うようになりました。施設の特色上、気管?気管支形成や大血管の合併切除など、進行肺癌に対する手術も積極的に行っています。検診の中でも喀痰細胞診で見つかる中枢気管支に発生した上皮内癌に対しては、手術ではなく気管支鏡による光線力学的治療も行える施設です。気道を閉塞するような気管および気管支の病変に対しては、気管支鏡技術を駆使したステント治療も行っています。

大腸癌、乳癌、腎癌、子宮癌、骨肉腫などの肺転移に対しても、主病巣がコントロールされている場合には積極的に手術を行います。

気胸の治療に関しては、若年者の自然気胸はもとより、間質性肺炎や肺気腫などの肺疾患を合併した難治性の続発性気胸に対しても、全身麻酔下に行う手術治療を行なっています。患者さんの状態に応じて、全身麻酔が難しい場合には硬膜外麻酔などを併用した意識下手術にも取り組んでいます。

縦隔腫瘍に対しては、胸腔鏡を用いた縦隔腫瘍切除、重症筋無力症に対する拡大胸腺摘除術を行っています。上大静脈など大血管に浸潤する縦隔腫瘍に対しては、人工血管を用いた血管再建を伴う縦隔腫瘍切除術も行っています。
肋骨や胸骨などの胸壁腫瘍に対して、整形外科や形成外科と協力しながら胸壁再建を伴う胸壁腫瘍切除も行っています。また、臓側胸膜や壁側胸膜に発生した悪性胸膜中皮腫に対する胸膜肺全摘術、あるいは肺を温存する全胸膜剥皮術を行っています。

当科では、原発性肺癌?転移性肺癌?縦隔腫瘍に、2019年よりロボット支援下肺切除手術を開始し、20247月までに250例のロボット手術を施行しております。

手術支援ロボット「ダヴィンチ」

当診療科は、日本に11施設ある脳死肺移植実施施設の一つであり、脳死肺移植待機を希望される患者さんに対する検査および肺移植待機登録、そして脳死肺移植手術を行っています。適応は、内科的治療では制御できない慢性進行性肺疾患の患者さんで、適応疾患は、肺高血圧症、特発性間質性肺炎、二次性の間質性肺炎(膠原病に伴うものなど)、肺気腫、リンパ脈管筋腫症、気管支拡張症、びまん性汎細気管支炎、造血幹細胞移植後肺障害などです。生体ドナーにおける手術のリスクと肺機能低下のデメリットを回避するために、当施設では第一に脳死肺移植を考慮します。どうしても臓器提供が間に合わないと考えられる患者さんで、生体ドナー候補者の自発的な強い希望がある場合には生体肺移植も考慮しています。20246月までに188例の肺移植(脳死肺移植169例、生体肺葉移植19例)を施行し、5年生存率70%以上の良好な成績を得ています。

(写真1)特発性肺動脈性肺高血圧症の症例の胸部レントゲン写真。心不全により心陰影の拡大が認められる。

(写真2)特発性肺動脈性肺高血圧症の症例(写真1)に対する脳死両側肺移植後の胸部レントゲン写真。心不全が改善し心陰影が縮小している。

(写真3)中枢型肺癌の気管支鏡写真。可視光気管支鏡(右)と蛍光気管支鏡(左)の写真。右上葉支が癌で狭窄し、蛍光気管支鏡にて癌の浸潤(マゼンダ色)が気管分岐部の高さまで及んでいいた。右肺管状全摘術(気管分岐部切除)を行った。

(写真4)中枢型肺癌(写真3)に対して、右肺管状全摘術を行った後の、気管?左主気管支吻合部の気管支鏡写真(左)と術後の胸部レントゲン写真(右)。

診療の特色

肺癌の診療においては、特殊な手術技術や術後管理を要する患者さんのみでなく、健康診断で発見された一般的な肺癌疑いの方の精査?加療ももちろん行っています。どうぞご遠慮なくご紹介ください。また、肺移植実施施設の一つとして呼吸不全の方々に対して肺移植医療を行い、社会復帰をサポートしています。肺癌に関するセカンドオピニオンや肺移植の適応の可否に関わるコンサルテーションも受け付けておりますのでご遠慮なくご相談ください。

年間症例数

手術実績

? 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年
原発生肺癌 143 140 141 124 172 155
転移性肺腫瘍 33 32 41 40 33 50
悪性中皮腫 2 2 0 1 1 0
肺良性腫瘍 7 4 6 12 14 10
縦隔腫瘍 22 21 24 19 32 26
胸壁腫瘍 5 3 7 7 1 1
膿胸 4 6 5 7 2 2
気胸 17 16 10 13 12 9
気腫性肺嚢胞 1 0 1 0 1 0
肺生検 1 5 5 7 6 1
その他 36 35 47 38 51 58
肺移植 9 9 6 10 14 17
280 273 293 278 339 329

新患、新入院患者数(2023年度)

新患数 322人
新入院患者数 551人

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