あいさつ
睡眠障害をもつ人の割合は全人口の15~20%に及ぶともいわれています。睡眠は、心身の様々な機能を健常に保つための基本的な役割を担っています。そのため、睡眠障害は心身の両面にわたり多くの悪影響を与えることが明らかとなってきましたが、その原因および症状が多くの診療科領域に及ぶことから、睡眠障害に対応する医療は多くの診療知識や技術を必要としています。
東北大学病院睡眠医療センターは、各診療領域で個別に対応してきました睡眠障害診療を連携させ、患者さんに包括的に睡眠障害に対する医療を提供する目的で、設置されました。
睡眠障害には、不眠症、睡眠時無呼吸症候群を代表とする睡眠関連呼吸障害、夜間しっかりと眠っているにもかかわらず日中に強い眠気と居眠りがみられる過眠症、睡眠リズムが崩れるために眠りたいときに眠れない、また起きていたいときに起きていられない概日リズム睡眠障害、睡眠中に大声をあげたり、寝言をいったり、歯ぎしりをしたり、身体をうごかしたり、など本来睡眠中にみられるべきではない現象がおこる睡眠時随伴症、手足のムズムズ感、ぴくつき、こむらがえりなどにより睡眠に支障をきたす睡眠関連運動障害など、様々なものがあります。そして、これら睡眠障害が、高血圧や糖尿病などの生活習慣病のコントロールを悪化させたり、心不全や緑内障などの病態を悪化させたりします。また、小児の成長や学習に、成人の精神神経症状に、高齢者の認知行動などに影響を及ぼしたりします。
したがいまして、睡眠医療を必要とする患者さんは、小児から成人まで幅広い世代となり、また、様々な疾患を有している方となりますため、様々な診療科の関与が求められます。当睡眠医療センターでは、東北大学病院の各診療領域の専門医師の高度な専門的知識と技術を集約して、睡眠医療のための検査?治療を提供します。また、東北大学病院は、新しい医療技術の研究?開発を行う研究機関でもありますので、当睡眠医療センターでは、睡眠医療における新しい検査機器の開発?新しい治療法の確立を目指していきます。そして、教育機関という立場から、睡眠医療専門の医療スタッフの育成そして、各医療機関への輩出にも努めていきます。加えまして、地域の睡眠医療の中核的機関として、検査そして治療計画の情報提供をおこなわせていただき、当該医療機関と連携して、当該医療機関の睡眠医療のお手伝いをさせていただきたいと思っております。
東北大学病院睡眠医療センターは、内科?外科、そして、東北大学病院が全国でも少ない専門性の高い歯科診療科と歯学部を有する強みを活かしまして、歯科とも協働して、高度な睡眠医療を包括的に提供する拠点としての役割を果たしてまいります。
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- 2022.05.31
- 広報誌「hesso(へっそ)」34号を発行しました